- たばこの灰でも生地はとける…
- 美容院へは普段着で
- ストーブには後ろ向きにあたらないで
- スーツを買うときは奥様と一緒に
- つくられた白さは黄変します
- 高額品は必ずしも高級品ではない
- 新しい服でも傷んでいる場合がある
- 気付かずに衣服を傷めていることがある
- ブラシがけは意外に効果的
- 金銀のラメは一般の繊維とは違います
- 静電気と帯電防止
- 生地は消耗しています
- 事故は原因が重なった時に起こります
- ポリウレタン製品の寿命は3年がメドです
- はっ水加工と防水加工はどこが違う
- 編み込まれたモール糸が抜けてしまうデザイン
- 欧米のデザインには鮮やかな色彩。なぜか国産と違う?
- シートベルトが衣服の生地を傷めることがあります
- タイトなデザインジャケットの裂けにご注意
- 大気ガス汚染で保管中に帯状の変色
- 濃色と淡色の組み合わせは色泣きしやすい
- 本物のドライなら口紅のついた紙でもきれいに洗えます
- 着用中の動きでスレたりホツレたり、衣類のダメージ
- 接着剤で付けた毛羽プリントには寿命がある
- 絹製品のプリーツ加工は安定しません
- 塩化ビニルの素材使いはドライできない
たばこの灰でも生地はとける…
ポリエステルのコートなどの前裾に、白くて細い筋のシミに見えるものが見つかることがあります。これは、繊維がタパコの灰などの熱で熔けたものです。
クリー二ング後に目立ちます
この白く見えるキズは、一見シミのように見えます。クリー二ングする前には汚れやシワにまぎれていたため目立たなくても、クリー二ング後にきちんと仕上げると、このキズが際立つてきます。このことから、「以前はこんなキズは無かったのに……」ということになつてしまいます。
独特の現象が見られます
この事故は、タパコを吸う人に限って前裾に現れること。繊維を織った山の部分が熔けていること。熱に弱い合成繊維にだけ起こることから、タバコの灰によるものだということがわかります。
美容院へは普段着で
パーマ液は変色の原因になります
衿回りや肩などの一部が、濃い焦げ茶や赤紫色に変色している場合、その服を美容院に着ていかなかったかどうか、考えてみる必要があります。パーマ液の第一液は還元剤、第二液は酸化剤です。これらの薬品は染料に強い影響力を持っています。美容院では十分に配慮していますが、念のために多少の変色があっても構わないような普段着で出かける方が安心です。
パーマ液による変色は後から起きることが多い
パーマ液は、10%以下の薄い水溶液です。すぐに変色しなくても、クリー二ング後や保管中に化学変化が進み、衣服を変色させてしまいます。パーマ液はドライクリー二ングでは落ちません。気がついたらすぐに水で濯いでください。
ストーブには後ろ向きにあたらないで
ストーブで生地が焼け焦げたり、熔けたりしてしまうことがあります。特に後ろ向きにあたっていると、気がつきにくいからでしょう。
ドライクリーニングではアイロンの焦げはない
クリーニングの後に見つかる焦げというと、すぐにアイロンを思い浮かべますが、現在のドライクリーニングの仕上げは、ほとんど蒸気プレスですから、局部的に焦げるということはありません。
ストーブの縁は160℃の熱
ストーブの金属製のフェンスの部分でも、160℃くらいの温度があります。ファンヒーターの吹出し口でも100℃前後の高温(HOT DUSH)です。
クリーニングしてわかることもある
焦げたり熔けたりしても、汚れにまぎれて気づかないでいると、クリーニング中に硬化している部分が破損してしまうことがあります。
スーツを買うときは奥様と一緒に
背中のダキシワに気をつけて
紳士服の大型専門店も急増し、手軽な価格で色、柄、デザインを気楽に選ぶことができるようになりました。そんな店では、老若紳士が鏡の前で試着しては、「うん、これにしよう」とお気に入りのスーツを決めています。ここで、ちょっと待ってください。背中の部分のフィット性は確かめられていますか?この部分は男の背中を決める重要なポイント。脇下から衿にかけての八文字状のシワ(ダキシワ)は、とても格好の悪いものです。鏡では見えない背中のシルエットは、奥様かお友達に確認してもらってから購入するようにしましょう。最近の日本人の体型は上半身の大きい逆三角形型が多く、胸囲、腕回りが大きくなって、数年前のサイズとだいぶ違ってきていますから、ダキシワには特に注意したいものです。
つくられた白さは黄変します
純白の繊維素材はありません
ウ―ルやシルクなどの夕ンパク質系の繊維は、本来黄色みを帯びています。また、ポリエステルなどの合成繊維であっても、染色される前は半透明で黄色みを帯びて見えます。綿や麻などの植物繊維も「生成り」という言葉の通りです。これらの素材を鮮やかな、輝くばかりの白にするためには、白く見えるように染めなければなりません。この際最も多く使用されるものが蛍光染料です。
純白は自然に黄色みを帯びた状態に戻ります
蛍光染料は、困つたことに直射日光に弱く黄ばんでしまうという性質を持つています。日光を反射する白は、夏の日差しの強い季節によく用いられますから、どうしても避けられない運命です。ただし、水洗いの場合は洗濯行程で蛍光染料を加えることができますが、ドライクリーニングではほとんど不可能で、この純白の寿命は短いものと心得ておいてください。
高額品は必ずしも高級品ではない
大胆なデザインや目新しい素材使いのファッション製品は、小量生産だから高価格。だからといって価格の分、品質が良いともいえません。
デザインのオリジナリティが高いものほどリスクも大きい
従来にないデザインや素材使いは、逆に言うと、品質上の不安から多くのメーカーが避けていたものである場合があります。縫い込みや編み込みなどとても不可能なデザイン素材を、接着剤で生地に貼りつけてあるもの。白い生地と鮮明な色彩の素材との組み合わせ。複雑なプリーツや型押し。革と綿など極端に異質な素材の組み合わせ。いずれもメンテナンス上大きなリスクを持ったものです。
輸入ファッションに特にご注意
円高もあって海外ブランド製品が身近なものになりましたが、製品によっては、日本人の品質意識と極端にかけ離れたものもあります。
新しい服でも傷んでいる場合がある
新しい服を買ったからといって、必ずしも仕立て上りのものであるとは限りません。製造から流通、店頭展示までの間に傷んでいる場合がありますので、購入の際には注意してください。
紫外線ヤケに注意しましょう
衣料品店によっては、店先の歩道にまではみ出して商品を展示しているところもあります。直射日光に長時間さらされると、染料や生地が紫外線によって変質してしまい、いわゆる変退色が発生してしまいます。また、店内であっても蛍光灯の紫外線の影響を受けています。
変退色の状態を確認しましょう
日光や蛍光灯の紫外線による変退色の状態をチェックするポイントは、光に最もさらされている部分と、そうでない部分を比較することです。裏地の無いものであれば、生地の裏側、裏地があればエリ裏、などと比較してください。
気付かずに衣服を傷めていることがある
ポケットに硬いものを入れた場合
最近は何でもコンパクトになって、ポケットサイズという言葉が一般的です。
電子手帳、携帯電話、カメラなどの硬いものを、ポケットに入れておくと、生地が擦れてしまい、クリーニングによって、損傷が際立ってしまうということがあります。
ショルダーバッグのベルトなどによる擦れ
ショルダーバッグのベルトや、腕にかけるハンドバッグのベルトなど、外出時に常に擦れる部分、会社や学校などで、いつも座っているイスのキズなどによって、傷んでしまうことがあります。
バッチ、ブローチなどによる穴あき
特にニット製品の場合、気をつけたいのが、バッチやブローチのピンによる糸切れです。クリーニングによって、大きく目立つようになります。
ブラシがけは意外に効果的
外出から戻ったら、ブラシがけして汚れを落としておいて下さい。チリやホコリなど、ブラシがけで簡単に落ちるものは、落としておいた方が衣服の寿命が伸びるのです。
ブラシがけは気休めではなく実効のあるものです
外出から戻ってのブラシがけは、気持ちの問題だと思ってはいませんか。衣服に付いたフケやホコリは長時間放置しておくと、シミや汚れ、クスミの原因になります。毎日のブラシがけを習慣づけておけば、衣服の寿命が伸びます。
ブラシの品質にも気を配りましょう
よいブラシは、生地を傷めず、静電気を起こさないもの、また、目に見えないホコリも取れるものを選びましょう。この意味から、毛足の長いブタの毛のブラシが適当です。よいブラシを1本持つと、日々の手入れも楽しいものになるでしょう。
金銀のラメは一般の繊維とは違います
キラキラと輝くラメ糸は、金属(アルミニウム)箔をフィルムではさんだものですから、一般の繊維とはその性質が大変違っています。
サビ(酸化)て光沢が消えてしまいます
汗や湿気、防虫剤の影響によって酸化したり、また、酸性雨や汚染された大気などによっても、一定の時間によって光沢が消えてしまいます。
シミ抜きができない
金属は薬品の影響を受けやすいことから、複雑な薬品を使用するシミ抜きができません。
熱の影響を敏感に受ける
金属は熱の影響を受けやすい性質を持っていますから、アイロンはもちろん、スチームなどによる仕上げでも影響を受けることがあります。
静電気と帯電防止
冬など空気の乾燥している時期には、パチパチと衣服が放電して不愉快な思いをしたり、衣服が身体にまとわりついたりします。
水分の少ない繊維ほど静電気が起きやすい
静電気は、仮に摩擦などによって発生しても、水分など電気を通しやすい性質のものによって、逃げていきます。しかし、ナイロンやポリエステルのような合成繊維は、吸湿性が低く静電気が起きやすいのです。
帯電防止は湿気を保持する効果で静電気を逃がす
帯電防止剤は、洗剤などと同じ界面活性剤というものを主成分としています。この作用は、それ自体が電気を通しやすいのではなく、空気中の水分を吸収して電気の通り道をつくるというものです。このことから、異常乾燥時などにはあまり効果がありません。
静電気は汚れを引き付けます
静電気は空気中チリやホコリを引き付け、汚れの原因にもなります。
生地は消耗しています
当然のことながら、衣料に生命はありません。病気やケガをしても回復力のある生き物と違って、衣料は傷つき消耗して悪くなる一方です。汚しすぎたり、いためつけたものは元どおりにはなりません。
シミや汚れが定着したら
シミや汚れも長時間放置したり、高熱をかけることなどによって、染めたように繊維に染着してしまうことがあります。このような状態のものを落とそうとすれば、生地に無理がかかり、傷めてしまうことになるのです。
カビなどは繊維を侵します
カビは植物のように生地の中に根(菌糸)をはります。この根は、繊維に食い込み分解してしまいます。
クリーニングは長持ちのもと
あまり汚れがひどくならないうちに、クリーニングに出していただければ、衣料に無理がかからず奇麗に仕上がります。
事故は原因が重なった時に起こります
潜在原因と誘発原因
クリーニングに限らず、多くの事故は原因が重なった時に起こります。例えば禁止されたところに花火を持ち込むという潜在原因、口火に火をつけるという誘発原因によって、火事という結果が発生し事故となります。
クリーニングが誘発原因になることもある
ドライクリーニングしなければ風合変化するシルクのブラウスに、サイダーをこぼしたとします。受付時の見た目にはわかりません。このことを知らされずにドライクリーニングし、アイロン仕上げするとその部分の糖分がが熱によって変化し、黄褐色のシミとなって現れます。このシミは落とすことができません。
潜在原因は素材や保管方にもある
前述の場合は、通常のドライで落とせない水溶性の糖分が潜在原因ですが、この他、ドライで色落ちする顔料染料プリントなど素材の設計上の原因、保管中の塩素ガスの影響などが潜在原因となることがあります。
ポリウレタン製品の寿命は3年がメドです
ウインドブレーカーやコートなどで、生地の表面を樹脂で覆ってある製品があります。表示タックを見ると、「表地:ポリウレタン○○%」などと記されています。
生地表面のコーティングや伸縮素材に使われる
皮革の感じやテクノっぽいイメージを演出する素材として、生地の表面にポリウレタン樹脂をコーティングした素材が使われることがあります。このポリウレタン樹脂は、ボディコンなどの伸び縮みする生地(ストレッチ)にもゴム素材として、またより身近なものとしては、紳士ソックスのゴムとして多く使われています。
ポリウレタン樹脂は時とともに弱くなります
紳士ソックスなどは、2年目くらいはいていると、ゴムが緩くなり、しまいにはゴムが切れて飛び出してきたりします。これは、ポリウレタン樹脂の「加水分解」という性質によるもので、同じように、一見ファッショナブルなウインドブレーカーやコートでも、空気中の水分によって次第に変質して購入から3年程度で表面にヒビや剥離が起きてきます。
はっ水加工と防水加工はどこが違う
雨の季節です。衣料と雨といえば、レインコートに代表される防水加工と雨に濡れても弾いてしまう撥(はっ)水加工が思い浮かびます。
不通気性の防水加工
一般に防水加工といわれているものは、雨合羽のように生地の表面にゴムや合成樹脂などを塗ったもので、水も空気も通さないものです。防水性は高いのですが、ムレやすく風合いに難点があります。
水を弾き通気性もあるはっ水加工
はっ水加工は、知っておくととても有効な加工です。加工剤の代表は、フッ素樹脂で、焦げ付かないフライパンでおなじみのテフロン加工と同様のフッ素樹脂等による加工です。ミクロの樹脂が繊維1本1本の表面に付着するので、通気性もあり、素材そのものの風合いを変えることなく、水や油などを弾き、汚れも防ぎます。クリーニングでも、この加工ができますので、スーツやコートなどには、是非この加工をしておきたいものです。
編み込まれたモール糸が抜けてしまうデザイン
ジャケットやセーターで、生地とはイメージの違うモール糸(花糸)を編み込んだものがあります。不良製品では、このモール糸が飛び出してしまうことがあります。
モール糸は一方向だけに動きやすい
モール糸は、常に一定の方向にしか動かないという性質があります。着用して体を動かしたり、クリーニングを繰り返すうちに、モール糸が徐々に移動し、糸の飛び出しを生じることがあります。
接着樹脂などでしっかりと固定する
多少固い風合いになりますが、詰まった織り目の製品を選ぶ。接着樹脂でしっかりと動かないように固定された製品でなければなりません。しかし、ある程度対策を講じた製品であっても、数年の着用で接着が弱くなり、いずれはモール糸が飛び出してしまいます。
欧米のデザインには鮮やかな色彩。なぜか国産と違う?
「イタリアやフランスなどのファッションは、鮮やかな色なのに、なぜか、日本の製品には鮮明な色が少ないみたい」と感じたことはありませんか? それには、わけがあるのです。
国内の製品はJIS規格によって管理されています
国産品には、日本工業規格によって定められた、染色の耐久性に関する試験があります。日本では、この試験のかなり高いレベルで商品化する傾向にあり、耐久性の低い鮮やかな色の製品は、少なくなりがちです。
消費者の感覚に違いがあります
繊維には「本来の色」があり、「鮮やかな色」を出すためには、本来の色を完全に隠してしまわなければなりません。そうすると、どうしても定着していない浮いた染料に頼ることになります。欧米では、その人のキャリアやライフスタイルによって、自然に色が落ちて変化しても気にしない人が多いようですが、日本人は一般に、新品感覚へのこだわりがあるようです。
シートベルトが衣服の生地を傷めることがあります
「車に乗るときには必ずシートベルトを締める!」ことは大切ですが、生地を傷める場合がありますからご注意ください。
肩から脇にかけてのスレやサイドポケットのスレ
繊維製品は擦れると、毛羽だったり、白っぽくなったり、テカリが出たり、擦り切れたりします。特にシートベルトは硬い繊維でできていますのでヤスリのような効果になります。
スレやすい素材は車内では脱いでください
絹、毛(ウール、カシミヤ等)、レーヨン、麻、スェード、毛皮などのスレに弱い繊維製品は、必ず脱いでください。寒い季節はとかく厚着になりますが、その分シートベルトに負担がかかりがち。
クリーニングすると目立つようになる
倒れていたり、切断された毛羽がクリーニングによって毛羽立ったり、脱落して目立ちやすくなりますので、十分にご注意ください。
タイトなデザインジャケットの裂けにご注意
体を締め付けるようなタイトなデザインのジャケットを着たときは、特に腕の上げ下げにご注意ください。
ナイロンを含む製品は糸滑りに注意
ナイロン繊維は、滑りやすい性質がありますから、袖付けの部分などに負担がかかると縫い代の部分の糸が滑って、裂けたような状態になります。特に袖付けの方向が、下に向かって鋭角的になっているものは時々点検してください。着た時にゆっくりと腕を上げていって、真横に腕を上げる前に肩が大きく浮くようだと、かなり動きに無理のある状態といえます。
異素材の交織は裂けやすい
ヨコ糸がポリエステル、タテ糸がアセテートといった異素材の交織製品の場合、タテヨコの強度に極端な差が出て、弱い方の糸が切れて裂けやすくなります。タイトなデザインの服を選ぶ場合注意したいポイントです。
大気ガス汚染で保管中に帯状の変色
夏本番、都市部では光化学スモッグの季節です。大切な衣類が、保管中に大気汚染の影響で、色あせしてしまうことがあります。
NOxガスによる
大気汚染の原因であるNOxガス(酸化窒素ガス)は、綿、ナイロン、アセテート製品に使われている染料(反応、分散)と反応して変色を起こしてしまう場合があります。変色の状態は、たたんであるものは空気に触れるたたみ端、ハンガーに吊るしたものは扉側の袖などに現れるのが特徴です。
換気と虫干しを
長期保管する場合は、年に1~2回虫干しの要領で風に通しましょう。酸化窒素ガスは、ガスコンロ、石油ストーブなどの燃焼ガスにも含まれています。
濃色と淡色の組み合わせは色泣きしやすい
特に綿製品で、白地など淡色系の生地に鮮やかな青や赤などの色でプリントされたり、生地の組み合わせがあるものは、淡色の生地に濃色の色がシミだしてくることがあります。
染色工程が不良の場合
汗や洗濯の際の水などに濡れた場合、染料が滲み出してくることがあります。これは、染色工程で十分に生地に定着させる処理、定着していない染料を洗い落とす処理をしなければならないのですが、これが不十分の場合に色泣きが起こります。
汗と日光の複合作用による場合
以前は洗っても色落ちしなかったのに、あるとき急に色落ちしてしまうことがあります。これは、紫外線や汗成分の影響で、染料が分解してしまうことが原因です。
本物のドライなら口紅のついた紙でもきれいに洗えます
水に浸すとグチャグチャになって、形も風合いも変化してしまうティッシュペーパー。それも繊維製品です。でも、ドライクリーニングで洗えば、形も風合いも変わりません。
自然の繊維はほとんどが水分を吸収します
綿や麻、絹や羊毛などの天然繊維だけでなく、植物繊維を原料にしているレーヨンやアセテートなどの化学繊維も、湿気や汗を吸収するように、水に浸すと水分を吸収してふやけて、形や風合いを変えてしまうという性質があります。
デザインや風合いのためのドライクリーニング
ドライクリーニングは、19世紀中頃、フランス貴族の衣裳のために考えられたという言い伝えがあります。ドライクリーニングは、水ではない溶剤というもので洗うので、繊維がふやけることがなく、デザインや風合いを大切に仕上げることができるのです。まさに貴族のための贅沢な洗い方なのです。
着用中の動きでスレたりホツレたり、衣類のダメージ
衣類は着用中の動きで、縫い合わせた部分がホツレてきたり、日常生活の中で裾やヒジ、脇などがスレたりしてきます。
タイトな衣類や麻製品はホツレに注意
腕の上げ下ろしや背中などがキュウクツなデザインの衣類は、袖付けや両脇部分の縫い目に負担がかかります。また、麻製品は繊維が滑りやすいので、縫い目の糸が開いてしまうことがあります。
ボタン周りを点検しましょう
ボタン付けの糸はゆるんでいませんか?ボタンホールの糸はホツレていませんか?クリーニングの工程で、ホツレが耐えられなくなってしまうことがあります。
絹やテンセルはスレやすい
ヒジや脇の下、袖口、ポケットの周りなど毛羽立って白っぽくなっていないか注意しましょう。また、スレて繊維屑となったものは、クリーニングで落ちてしまいます。
接着剤で付けた毛羽プリントには寿命がある
ベルベットのような肌触りのプリント柄製品は、接着剤で毛羽を生地の表面に貼り付けたフロック加工といわれるものです。
フロック加工の接着剤は徐々に弱くなってきます
毛羽を貼り付けている接着剤は、着用中のスレや、クリーニングの繰り返しなどによって、徐々に接着樹脂の接着力が弱くなってきます。織り込んで毛羽が作られるベルベットやコーデュロイ、別珍などと違って、根無し草のような状態ですから、このような加工製品には、寿命があるのもしかたのないことです。その寿命は、元の加工、保管・着用などの状態によって変わってきます。いったん取れた毛羽を再度つけることはできません。
絹製品のプリーツ加工は安定しません
ファッションデザインとして、シワ加工やプリーツ加工が流行しています。色々な素材の製品にシワやプリーツがデザインされていますが、絹だけは安定した加工法が開発されていません。プリーツ加工品を購入する際は、このことに注意するとより長くファッションを楽しむことができます。
濡れると消えてしまう絹のプリーツ
耐用性のあるプリーツ加工は、各種の素材の性質に対応した加工が開発されてきました。化学繊維の多くは熱可塑性(熱によって型付けする)を応用しています。ウールや絹は、それぞれ特殊な薬品によって加工します。しかし、絹素材については有効な加工技術が開発されていません。このことから、一定の着用期間後またはクリーニング後再度プリーツ加工を繰り返す必要がありますが、細かく複雑なプリーツは再現することができません。
表示に「絹100%」とあるプリーツ製品は、長期間楽しむことができないものと心得ておきましょう。雨や汗に濡れたら、プリーツが取れてしまいますので注意しましょう。撥水加工で水を防止すると多少効果があります。
塩化ビニルの素材使いはドライできない
デザインのアクセントに、ビニール素材(ポリ塩化ビニル)が使用されている場合、ドライクリーニングすると、ビニールが硬くなってしまい、ひび割れることがあります。
塩ビ素材にはプラスチックを柔らかくする薬品が溶かし込まれています
塩ビ(ポリ塩化ビニル樹脂)は、水道管に使われるように、本来は硬いプラスチックです。衣料素材として使われているものは、ドライクリーニングに使われている溶剤と同種の液体に可塑性(柔軟にする薬品)を溶かし、その中に硬い樹脂を漬け込むことによって、柔らかな風合いに加工しています。塩ビ素材が使われているのに、水洗い禁止、ドライ可表示になっている場合があります。しかし、これをドライクリーニングすると、可塑剤が溶け出してポリ塩化ビニルがカチカチに硬くなり、ひび割れてしまうことがあります。購入の際には、表示にポリ塩化ビニルまたはPVCという表示があることを確認しましょう。